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商標に関する紛争及び訴訟の紹介(11)

商標権侵害紛争の行政による調査・処罰は、(1)権利侵害の証拠および端緒収集、(2)管轄権を有する工商行政管理部門に通報、(3)工商行政管理部門が調査および処罰実施という流れです。


(1)権利侵害の証拠および端緒収集

商標登録権者または利害関係人(以下「権利者」)が、登録商標の専用権侵害を知ったときにすべきことは、証拠収集です。その手段は以下の通りです。

(1)調査会社に権利侵害商標の具体的図案の撮影、権利侵害商標に係る商品の販売地点および販売経路の調査を依頼、調査報告書を発行してもらう。
(2)権利侵害商標がネット上で表示および使用されている場合、公証人を立て、権利侵害商標の表示および使用並びに商品販売状況を調査し証明する。
(3)実地調査で権利侵害商標の表示された商品の販売経路および販売データを入手し、権利侵害者の違法所得および権利者の損失を確定させる。


(2)管轄権を有する工商機関に通報

通報は、権利者が管轄権を有する工商行政管理部門(以下「工商機関」)に直に行うか、調査会社または弁護士に代理依頼も可能です。特に、権利侵害者の刑事責任追及に関わる場合、代理依頼で公安機関に告発したほうがよいでしょう。工商機関への通報または告発に際しては、書面の証拠を提出することが望ましく、口頭では受理されない恐れがあります。書面告発があった場合、公証人による調査の公証書が添付されていれば、受理される可能性がより大きくなると思われます。通常、書面による告発を受けて1週間以内に権利者に連絡をとり、当事者に「商標権侵害に関する調査協力依頼書」を送付、当事者に「商標権侵害鑑定報告書」および「商標登録証明」または「商標使用許諾契約」等の提出を求めます。権利者が上記書類を提出すれば、工商機関は一両日中に当該事案を受理し、場合によっては上述の一連の手続が2、3日で完了することもあります。


(3)工商機関の調査および処罰

工商機関は、告発受理後、権利侵害者に対し権利侵害行為の即時停止を命じ、権利侵害商品の製造または登録商標標章の偽造に用いる道具を没収・処分し、違法所得を没収と違法経営額の5倍以下の過料に処することができるとされています。また、5年内に商標権利侵害行為を2回以上行う、またはその他の重大な情状がある場合は、重きに従い処罰しなければなりません。登録商標専用権を侵害する商品であることを知らずに販売し、当該商品が自ら合法的に取得したものであることを証明し、かつ提供者を説明することができる場合には、工商機関が販売停止を命じる、とされています。

権利者からみた行政処罰手続のメリットとしては、次の点が挙げられます。
(1)申請手続が簡単で、適用範囲が広い。全国どこでも工商機関に権利侵害行為の調査・処罰の申請が可能。
(2)処罰が迅速で、権利侵害者に対し抑止力がある。処罰が懲罰的な性格を帯びており、ある程度権利侵害者の再犯を阻止ができる。
(3)「行政処罰決定書」が権利者にとって最良の証拠になる。権利者がその後民事訴訟を提起する場合、行政処罰決定書に記載された権利侵害の事実と権利侵害の範囲および金額を直接証拠として使用できる。
(4)犯罪を構成する権利侵害事案であれば、工商機関もやはり犯罪行為を公安機関または検察機関に直接移送ができる。
このように、権利者の合法的権益が手厚く保護されています。


張 継文 律師 パートナー
北京中諮律師事務所
zhangjiwen@zhongzi.com.cn

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