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商標に関する紛争および訴訟の紹介(7)

 新商標法は、「他人の登録商標、未登録の馳名商標を企業名称の中の商号として使用し、公衆を誤導し、不正競争行為を構成した場合は、『不正競争防止法』に従い処理する」と定めています。

(1)商号および商標の登記、登録機関の違い


 「企業名称登記管理規則」の規定によれば、企業名称は、行政区画(例:北京)、商号(例:トヨタ)、業種(または経営上の特徴)(例:自動車販売)および組織形態(例:有限会社)によって構成されます。そして、「商号」は、企業名称の中心となる部分であり、異なる企業を区別する主な標識となるものです。

 企業は、登記主管機関の管轄区内において1つの名称しか使用することができず、企業名称は、すでに登記登録されている同業企業の名称と同一または類似のものであってはならないとされています。企業名称の登記主管機関は、国家工商行政管理局および地方の各級工商行政管理局です。一方、登録商標の登記機関は、国家工商行政管理局商標局となっています。


(2)商号による商標権侵害行為の構成


 「不正競争防止法」および国家工商行政管理総局が公布した「商標および企業名称における若干問題の解決に関する意見」の規定によれば、商号による商標権侵害行為は、次の構成要件を同時に満たすべきものとされています。(a)商号と商標に使用されている文字が同一または類似であること、(b)同一または類似商品に使用されること、(c)商号部分が強調して使用されていること、(d)容易に関連公衆の誤認を招くこと。この権利侵害構成要件を、実例を挙げて分析してみましょう。
 2004年に、天津のある会社が「天津米其林電動自転車有限公司」という名称の企業を登録し、同社が販売する電動自転車等の部品に「米其林」という文字を表示しました。天津市中級人民法院は、ミシュラングループの訴訟請求に基づき、「ミシュラングループが中国で登録した『MICHELIN』および中国語商標『米其林』は馳名商標であり、天津米其林がその電動自転車に『米其林』の文字を使用し、かつかかる特殊な漢字の組合せを企業名称として登録したのは、商標法に定める他人の登録商標にその他の損害を与える行為に該当するため、天津米其林に米其林の表示および企業商号の使用を停止せよと判決する」と判示しました。この事例では、天津の法院は天津米其林の行為が商標法の規定に違反しているとして判決を下しましたが、新「商標法」では、このような権利侵害行為は「不正競争防止法」に従い処理するものとされており、構成要件として、原告と被告の間に競争関係が存在すべきであるという点がより強調されています。


(3)商号による商標権侵害行為の結果

 

 最高人民法院が公布した「登録商標、企業名称と既存権利の抵触に係る民事紛争事件の審理における法律適用の若干問題に関する解釈」第4条は、「訴えられた企業名称が登録商標専用権を侵害し、または不正競争を構成する場合、人民法院は、原告の訴訟請求および事件の具体的状況に基づき、被告に使用停止、規範的使用等の民事責任を負わせることを確定することができる」と定めています。
 一般に、企業名称を規範的に使用すれば関連公衆に混同または誤認が生じるのを避けられる場合には、法院は、商号使用者に対し、使用停止ではなく、商号の規範的使用を求めるにとどまります。侵害されたのが馳名商標の商標権であるときは、法院は、企業名称登記者に名称登記の取消しを求めるのが普通です。


北京中諮律師事務所 パートナー

張 継文 律師

zhangjaiwen@zhongzi.com.cn


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