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リスクマネジメントと人事労務
今号ではリスクマネジメントと人事労務についてご案内いたします。
近年、日本はもとより、海外オペレーションにおけるリスクマネジメントが益々重要になってきています。(※ここでのリスクマネジメントは広義の意味合いとし、危機・緊急事態に対応する危機管理も含めます。)
リスクマネジメントと危機管理
香港において注視すべき主なリスクとしては、鳥インフルエンザ/新型インフルエンザやMERS(中東呼吸器症候群)などの感染症が挙げられます。2013年には、中国本土を中心に発生した鳥インフルエンザ(H7N9)やMERSがリスクでした。また14年には、西アフリカから拡がりを見せているエボラ出血熱がグローバルな緊急事態として大きな問題となっております。そのほか、集会・抗議活動なども挙げられます。
これらのリスクは人事労務上の課題を投げかけます。危機発生時には社員の人命・安全を脅かし、企業の経済的被害も予測されます。したがって、危機対応の社内マニュアルや事業継続計画(BCP)の策定をするなど、事前対策が求められます。危機意識を持ち、「恐れすぎず、あなどらず」の姿勢で、次に挙げる3つのステップを踏んでいくことがポイントとなります。
(1)知識・情報
まずは、リスク・危機管理に関する知識を身につけ、情報収集・分析をすることが挙げられます。新型インフルエンザとは何か、MERSの動向はどうか、エボラの感染経路など、基本知識の正確な理解なしではシミュレーションができません。
(2)シミュレーション
知識・情報をベースに、トップマネジメントは可能な限り企業の対応策を考え抜いておくことが極めて重要です。リスク・危機が起こり得る状況やその際の対応について「思考を通す」ステップとなります。リスク・危機の状況変化を想定した「フェーズ」を設定して各種の対応策を練っておきます。対応策の各種項目として危機管理体制、情報収集・共有、通勤や出張、駐在員(とその家族)に対する対応、事業継続計画など、それぞれのフェーズでの対応策を決めます。
(3)アクション(事前対策)
シミュレーションで考え抜いた対策について、リスクが顕在化する前に可能な限り事前対策をうっておきます。シミュレーションをもとに危機管理の社内マニュアルや事業継続計画の作成や運用、必要な機器・備品などの準備、さらに社員教育・訓練等のアクションを進めていくことになります。
さらに、これら3つのステップにおいて、香港政府の対応や動き、関連する条例についても知り、考慮していく必要があります。
香港政府の対応や関連条例
香港政府は、パンデミック・MERS・エボラそれぞれについて「対応レベル」(警戒対応・厳重対応・緊急対応レベル)を設定し、政府の対応策を取り決めています。企業としては、国際機関等の対応レベルと共に香港政府の対応レベルを理解した上で、対応策を講じることが大切です。
前号にて、雇用にまつわる各種条例をご紹介いたしましたが、リスクマネジメント上の人事労務的な対応・対策についても、雇用条例や差別条例をはじめ、各種条例がどのように関わってくるかを知っておく必要があります。そのほか、緊急時には衛生署や労工処などのガイドライン等も発行されます。これらを参照し事前準備を進めておくことが肝要です。
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