
- ビジネス記事
INTELLIGENCE SMC CONSULTING LTD.
強制退職積立金(MPF)制度について
今号では強制退職積立金(MPF)制度の概要および改定に関する動向についてご説明します。
強制退職積立金(MPF)制度
強制退職積立金制度(MPF)は香港雇用の労働者が65歳になるまでの期間、賃金の一部を労使双方が積み立てておくことにより、老後の生活費確保をサポートする制度です。
■対象者:勤務形態(フルタイムやパートタイムなど)にかかわらず、18歳以上65歳未満のすべての労働者、および個人事業主が対象となります。ただし、「労働ビザ」を保持し他国で年金制度に加入している外国人労働者など、一部の労働者は加入義務が免除されます。
■加入義務の発生時期:雇用開始から60暦日経過した時点で生じます。加入義務が生じた時点で、使用者は雇用開始日に遡って、また労働者は雇用開始日から30暦日経過直後の賃金計算期間の初日に遡って、それぞれ積み立てを開始します。
■積立金:強制積立金と任意積立金の2種類に分けられます。強制積立金はMPF条例に従い積み立てを行う必要がありますが、任意積立金については労使双方が自由に設計することができます。
■支給時期:強制積立金は原則として労働者が65歳になった時点で一括支給されます。60歳~64歳の期間に労働者が早期定年退職を選択し所定の手続きを完了した場合など、一部早期支給の適用条件があります。
解雇補償金あるいは長期服務金とMPF積立金との相殺の見直しについて
雇用条例では使用者が労働者との雇用契約を解除する際、条件を満たす労働者に対し、契約解除理由に応じ解雇補償金あるいは長期服務金を支払う義務があります。現在、それらの支払いとMPF積立金との相殺を可能とする制度が規定されています。しかし、以前より労働者団体側からの強い要請が出ていたこともあり、今年年初ごろより、同制度の廃止に向けた動きがありました。2017年1月、前行政長官による施政方針演説に同制度を廃止するという方針が盛り込まれたほか、2017年6月には政府の最高諮問機関である行政会議にて制度廃止に伴う政府案が承認されました。今後、条例を制定・変更する権限を有する立法会において、制度廃止についての承認を目指すことになります。
相殺制度廃止に向けた政府案
2017年6月に行政会議で承認された政府案では以下3点の方針が示されています。
⑴解雇補償金あるいは長期服務金を算出する際の一部の係数において、月間総賃金の3分の2を用いる方式から、同2分の1へ変更
⑵施行日より効力が発生し、遡及効は認めない。施行日以前の積立分については相殺可能
⑶相殺制度廃止後10年間は、雇用主へ解雇補償金あるいは長期服務金の一部に該当する金額に対して助成金を支給
ただし、2017年7月に就任した新行政長官は前政権の決定事項に対する拒否権を有しており、こちらの政府案は変更される可能性があります。
今後の見通し
強制退職積立金(MPF)制度
強制退職積立金制度(MPF)は香港雇用の労働者が65歳になるまでの期間、賃金の一部を労使双方が積み立てておくことにより、老後の生活費確保をサポートする制度です。
■対象者:勤務形態(フルタイムやパートタイムなど)にかかわらず、18歳以上65歳未満のすべての労働者、および個人事業主が対象となります。ただし、「労働ビザ」を保持し他国で年金制度に加入している外国人労働者など、一部の労働者は加入義務が免除されます。
■加入義務の発生時期:雇用開始から60暦日経過した時点で生じます。加入義務が生じた時点で、使用者は雇用開始日に遡って、また労働者は雇用開始日から30暦日経過直後の賃金計算期間の初日に遡って、それぞれ積み立てを開始します。
■積立金:強制積立金と任意積立金の2種類に分けられます。強制積立金はMPF条例に従い積み立てを行う必要がありますが、任意積立金については労使双方が自由に設計することができます。
■支給時期:強制積立金は原則として労働者が65歳になった時点で一括支給されます。60歳~64歳の期間に労働者が早期定年退職を選択し所定の手続きを完了した場合など、一部早期支給の適用条件があります。
解雇補償金あるいは長期服務金とMPF積立金との相殺の見直しについて
雇用条例では使用者が労働者との雇用契約を解除する際、条件を満たす労働者に対し、契約解除理由に応じ解雇補償金あるいは長期服務金を支払う義務があります。現在、それらの支払いとMPF積立金との相殺を可能とする制度が規定されています。しかし、以前より労働者団体側からの強い要請が出ていたこともあり、今年年初ごろより、同制度の廃止に向けた動きがありました。2017年1月、前行政長官による施政方針演説に同制度を廃止するという方針が盛り込まれたほか、2017年6月には政府の最高諮問機関である行政会議にて制度廃止に伴う政府案が承認されました。今後、条例を制定・変更する権限を有する立法会において、制度廃止についての承認を目指すことになります。
相殺制度廃止に向けた政府案
2017年6月に行政会議で承認された政府案では以下3点の方針が示されています。
⑴解雇補償金あるいは長期服務金を算出する際の一部の係数において、月間総賃金の3分の2を用いる方式から、同2分の1へ変更
⑵施行日より効力が発生し、遡及効は認めない。施行日以前の積立分については相殺可能
⑶相殺制度廃止後10年間は、雇用主へ解雇補償金あるいは長期服務金の一部に該当する金額に対して助成金を支給
ただし、2017年7月に就任した新行政長官は前政権の決定事項に対する拒否権を有しており、こちらの政府案は変更される可能性があります。
今後の見通し
新行政長官の政権は2017年末までに改定案を策定し、労使双方が合意できる状態を目指すとコメントしています。一方、制度廃止についての具体的なスケジュールは示されておらず、今後も動向を注視していく必要があります。
INTELLIGENCE SMC CONSULTING LTD.
住所 | Room 402-412, Hutchison House, 10 Harcourt Rd, Central, HK |
---|---|
電話 | 852-2833-0192 |