キーマンインタビュー

果たしたい熱き想い

フットサルに出会い、歩んだ道

　昨年夏に来連、中国の強豪フットサルチーム・大連元朝足球倶楽部にて攻撃の要役・ピヴォのポジションでプレーする日本人選手として注目を集める渡邉さん。現在中国国内リーグに参戦、2月には10月にコロンビアにて開催のFIFAフットサルワールドカップ参戦への切符を賭けたアジア選手権も目前に控え、国内外を忙しく飛び回る。
　渡邉さんとフットサルとの出会いは大学生の時。小学三年生から大学一年生までサッカー一筋だったものの、大学サッカー部の監督の「サッカーが人生の全てではない」という一言に、これまでと違う自分が見たくなり、しばらくの間サッカーの世界から離れることに決めたという。
　「ですが長年やってきた事を絶った反動でストレスが溜まってしまって（苦笑）。ボールを蹴りたい、そんな想いが膨らんでいきました」。
　そこで、順天堂大学フットサル部GAZIL（ガジル）の門を叩くことに。その後、先輩に誘われアマチュアの強豪チーム・現フウガドールすみだに入団。大学三年生の時に日本フットサルリーグ（Fリーグ）が開幕となり、プロ選手への道を決意。卒業後は岩手県のプロチーム入団と共に日本代表としての活動を皮切りに、その後名古屋オーシャンズにも在籍。累計して国内タイトル11回、アジアタイトル2回獲得と着実にフットサルプレーヤーとしての確固たる地位を築いていくこととなる。
　そして来た、海外への挑戦。「選手のうちに海外でプレーしてみたいという想いもあり、決断しました」と力強い眼差しで語る。常に前を見続け、自らの可能性を切り拓こうとする渡邉さんの真っ直ぐな意志が伝わってくる。

今、自身に掲げる二つの目標

　現在はプロ選手としての活躍だけにとどまらず、2015年に（株）Global9を設立。フットサルをさらに広めるためのスクール事業やアプリ開発、慈善事業など多角的に着手。
　「昨年12月には、上海にいる日本人児童を対象にフットサルクリニックを開催しました。その後指導した子供達や父兄の皆さんが試合の応援に駆けつけてくださり、とても元気付けられました」。
　海外チーム在籍の外国人プレーヤー、日本代表選手、起業家と3つの顔を持つ渡邉さん。
今後の抱負をたずねると、選手としての『公』の目標と、個人としての『私』の目標をそれぞれ掲げているとのこと。
　「今在籍しているチームでは、リーグ戦優勝を導く責務があります。また、日本代表のメンバーに選ばれるように頑張り、アジア選手権でワールドカップの切符を掴み、ワールドカップでは過去最高のベスト８以上を狙いたい」。
　そしてもうひとつの目標とは。それはフットサルの魅力をより多くの人に伝えることだ。
　「社名にもある『グローバル』という言葉通り、世界に目を向けた広い視野で活動したいですね。日中の子供たちでフットサル国際交流、というのも面白そう。海外にいる貴重な機会は生かさないと！」と意気込みを見せる。
　フットサルへの熱意がより多くの人々を巻き込み、さらなる可能性を生み出していく。そんな予感を確信させる、渡邉さんの今後の活躍にますます目が離せない。

中国フットサルリーグ1巡目最終戦にて。後半絶妙な立ち回りで2点を決め、観客を沸かせた。

PROFILE

わたなべ　ともあき

1986年生まれ、福島県出身。順天堂大学スポーツ健康科学部を卒業後、ステラミーゴいわて花巻に入団、同時に日本代表に選出。2011年に名古屋オーシャンズに移籍し、国内11回、アジアで2回の優勝に貢献。その後府中アスレティックFCでのプレーを経て2015年8月に大連元朝足球倶楽部のオファーを受け移籍、現在に至る。

（株）Global9

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